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GLH. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版
ニュートピックス
・2021年,日本ヘリコバクター学会より「血清抗体法を用いたヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染診断に関する注意喚起」が出された.
1)血清抗体価は「現在のH. pylori菌感染状態」を反映するものではなく,血清抗体価が陽性というだけで除菌治療を行うことは推奨されない.除菌治療成功後,抗体価陰性化には年単位の時間を要することが多く(2年経過でも約50%が抗体陽性),血清抗体価のみで除菌判定をすることは適切ではない.
2)除菌治療前には,血清抗体価のみではなく,現感染に適した検査を実施し,H. pyloriが陽性であることを確認すること.
3)血清抗体価測定キットは同じではなくそれぞれの特性がある.
・以上を十分理解して,正確なH. pylori感染診断を行い的確な除菌治療をすることが望まれる.
治療のポイント
・H. pylori感染は,胃炎のみならず,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃癌,胃MALTリンパ腫,免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病などの多岐にわたる疾患の原因となる.次世代への感染予防の見地からも除菌治療が推奨される.
・わが国では,抗菌薬2剤と胃酸分泌抑制薬を使用した3剤併用療法の1週間内服治療が標準療法とされている.ボノプラザンを使用した除菌が推奨されており,1次除菌で約92%,2次除菌で約98%の除菌成功率が報告されている.
◆病態と診断
A病態
・Helicobacter pyloriが胃粘膜上皮に持続的に感染し慢性炎症を惹起する.
・H. pyloriは,まだ胃酸分泌の確立していない乳幼児期から小児期に感染し,その後感染が持続し,萎縮性胃炎,腸上皮化生などの病態を引き起こす.成人期にH. pyloriが初めて感染し慢性胃炎に移行することはまれとされている.
・H. pyloriは,最初,
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