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GL大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン(2017)
治療のポイント
・症状がなければ基本的に治療は必要としない.
・憩室出血や憩室炎などの憩室合併症を起こした場合は,腸管安静や薬物療法などの内科的治療を行う.
・内科的治療でコントロールがつかない場合や繰り返す場合は,外科的加療を行う.
◆病態と診断
A病態
・憩室とは,消化管壁の一部が嚢状に拡張し管腔の外側へ突出したものである.
・大腸憩室は,大腸に生じ筋層を有していない仮性憩室である.食物繊維摂取量の減少に伴う腸管内圧上昇と,加齢による粘膜の脆弱化が原因とされており,後天的に発生する.
・メッケル憩室は胎生期卵黄腸管の遺残によって生じる回腸の先天性憩室であり,壁に腸管壁全層を有する真性憩室である.
・憩室合併症として,憩室出血や憩室炎を起こすことがある.
B診断
・合併症のない無症状の大腸憩室やメッケル憩室は偶然見つかることが多く,消化管造影では憩室内に造影剤貯留像として描出され,CTでは腸管から突出する盲端な構造として描出され,内腔に空気や液体を含むことがある.メッケル憩室は20~50%に異所性胃粘膜を内在しているため,異所性胃粘膜シンチグラフィにより検出することができる.内視鏡検査では,憩室は正常粘膜で覆われた数mmの陥凹もしくは開口部として同定される.
・憩室出血は,造影CTでは造影剤の血管外漏出像として診断することができる.全身状態を考慮し,大腸内視鏡検査を行って出血源の診断および内視鏡的止血をする.出血が多量であるにもかかわらず出血憩室が同定できない場合は,血管造影や出血シンチグラフィで出血憩室を同定する.
・憩室炎は,炎症反応上昇を認め,CTでは憩室の壁肥厚や憩室周囲の脂肪組織混濁など炎症性変化を認め,腹部超音波検査では腸管壁の肥厚や膿瘍形成などの所見を認める.大腸内視鏡検査は炎症を増悪させ穿孔を誘発する危険性があ
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