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◆病態と診断
A病態
・腹痛は日常診療において頻度の高い症状で,消化器関連の疾患だけではなく腹部以外の臓器から発生する場合もあり,緊急を要することもあるので,すみやかに診断・治療を行う.
・腹痛は,その発生メカニズムより,内臓痛,体性痛,関連痛に分類されるが,重複している場合もある.
・内臓痛は,消化管の伸展や収縮などにより生じる,自律神経を介して起こる鈍い痛みで,吐き気など自律神経反射を伴う場合がある.
・体性痛は,消化管の炎症や化学的刺激などにより生じる,脊髄神経知覚線維を介して起こるはっきりした強い痛みで,圧痛を伴う場合が多く,緊急を要する場合がある.
・関連痛は,病変からの刺激が同じ分節に入る体性求心神経を刺激することにより生じる,病変から離れた部位の痛みである.
B診断
・まず第一に緊急を要する急性腹症の鑑別診断を行う(「急性腹症診療ガイドライン2015」を参照).
・急性腹症を鑑別した後は,問診にて,特に発症様式(突発性の場合は緊急を要することが多いので注意),腹痛部位,腹痛の性状と経過,随伴症状などを正確に聴取する.
・次にバイタルサインを確認し,腹部の診察(視診,聴診,打診,触診)を行い,バイタルサインに異常がある場合などは状態を安定化させ,専門施設への転送を行う.
・引き続いて緊急性の高い検査として胸腹部X線,心電図,腹部超音波検査,血液検査,尿検査などを行い,消化器疾患のみならず,全身疾患や緊急を要する心臓血管性疾患,女性の場合は婦人科的疾患にも留意する.
◆治療方針
原因疾患を特定して,その治療を行うことが基本であるが,診断不明または診断がつくまでの間は対症療法としての鎮痛治療を行い慎重に経過を観察する.
A急性腹痛
1.内臓痛に対する治療
軽度の腹痛では鎮痙薬が有効である.
Px処方例 下記1),2)のいずれかを用いる.無効な場合は3)を用いる.
1)ブチルスコポラミ
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