頻度 割合みる
ニュートピックス
・2022年の春ごろから,欧米を中心とする海外で小児における原因不明の急性肝炎例が報告されている.WHOの報告によると,5歳以下の例が多く,重症化例の頻度は14.1%で,アデノウイルス感染や新型コロナウイルス感染との関連が示唆されている.日本での実態は明らかではなく調査が行われている.
◆病態と診断
A病態
・急性肝炎とは,主に肝炎ウイルスが原因で起こる急性のびまん性疾患であり,そのウイルスとしてA,B,C,D,E型の5種類が確認されている.
・感染経路は,A,E型は経口感染で汚染された水,食物を介して感染する.B,C,D型は血液感染で輸血や汚染血液が付着した針による刺入などにより感染が成立する.
・肝炎ウイルスが体内に侵入してから症状が出現するまでの潜伏期は4~8週間前後の例が多い.肝炎ウイルスに感染するも自覚症状を有さず不顕性で経過する例も少なくない.
・急性肝炎は,その原因ウイルスにより経過と重症度が異なる.A型肝炎とE型肝炎は,一過性に経過し,免疫抑制状態でない限り慢性化することはない.B型肝炎は新生児,小児期に感染すると高率に慢性化するも,成人例での感染は原則一過性感染で経過し慢性化例は少ない.C型肝炎は感染時年齢に関係なく高率に慢性化する.高齢者の急性肝炎症例は原因にかかわらず,全般的に重症化しやすいことから注意を要する.
B診断
・起因肝炎ウイルスの診断は下記の検査で行う.
1)A型:IgM-HA抗体陽性.
2)B型:IgM-HBc抗体陽性,HBs抗原陽性.
3)C型:HCV-RNA陽性,HCV抗体陽性.
4)E型:IgA-HE抗体陽性,HEV-RNA(保険適用外)陽性.
5)nonABC型:IgM-HA抗体陰性,IgM-HBc抗体陰性,HCV-RNA陰性,IgA-HE抗体陰性,抗核抗体陰性(自己免疫性肝炎の否定),既知のウイルス感染症の否定.
・重症度は,
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