今日の診療
治療指針

高Ca血症,低Ca血症
hypercalcemia,hypocalcemia
本田浩一
(昭和大学教授・腎臓内科)

頻度 よくみる

治療のポイント

・血清Alb値が4.0g/dL未満の場合は血清Ca値を補正して評価する.補正Ca濃度(mg/dL)=血清Ca濃度(mg/dL)+{4-血清Alb値(g/dL)}

・高Ca血症,低Ca血症の多くは無症候性か非特異的な軽度の症状を示す例が多い.

Ⅰ.高Ca血症

◆病態と診断

A病態

・①薬剤性,②副甲状腺ホルモン(intact-PTH)やPTH関連ペプチド(PTHrP)異常,③腸管吸収亢進,④腎での再吸収亢進,⑤骨吸収増加に分けることができる.

B診断

・消化器症状,多飲多尿脱水,心電図異常(QTc短縮,不整脈)などの症状・所見を示す.重症例は意識混濁や急性腎障害を合併する.

・家族歴,高Ca血症を発症する薬剤(ビタミンD製剤サイアザイド系利尿薬など)の服薬歴を確認し,上記②~⑤の鑑別を進める.

◆治療方針

 補正Ca値12.0~14mg/dLでは飲水負荷や生理食塩液の点滴静注を行う.

 高Ca血症は多尿から脱水となるため,十分な水分補給・補液を行う.

Px処方例 first lineとして1)を用いる.

1)生理食塩液 500~2,000mL 100~300mL/時で点滴静注

 中等症以上(補正Ca値14mg/dL~)の場合は,1)に2)カルシトニン製剤や3)ビスホスホネート製剤を併用する.

2)エルカトニン(エルシトニン)注 1回40単位 1日2回 筋注または点滴静注(点滴静注は1~2時間かけて注入)

3)ゾレドロン酸(ゾメタ)注(4mg/100mL/ボトル) 1回1ボトル 15分で点滴静注(保険適用は悪性腫瘍に伴う高Ca血症のみ)

 上記で効果がない場合,4)デノスマブの投与を検討する.

4)デノスマブ(プラリア)注 1回60mg 皮下注保外

■専門医へのコンサルト

・高度の高Ca血症(補正Ca値18mg/dL以上)や腎不全や心不全合併例では腎専門医にコンサルトし,透析

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?