今日の診療
治療指針

多発性骨髄腫
multiple myeloma(MM)
中世古知昭
(国際医療福祉大学主任教授・血液内科学)

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GL造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版

GL多発性骨髄腫の診療指針(第5版)(2020)

ニュートピックス

・ダラツムマブの皮下注射製剤が登場し,投与時間が大幅に短縮された.

・イサツキシマブはポマリドミド・デキサメタゾンとの併用療法に加えて,カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法,単剤療法およびデキサメタゾン併用療法が用法・用量に追加された.

・再発・難治性多発性骨髄腫を対象に,B細胞成熟抗原(BCMA:B-cell maturation antigen)を標的とするCAR-T細胞療法が承認された.

治療のポイント

・多発性骨髄腫に起因する臓器病変の有無を正確に評価し,治療適応かを判断する.

・治療適応例では自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(自家移植)適応か否かを評価し,異なった治療戦略を立てる.

・初回寛解導入療法,再発・難治症例に対する救援療法ともに,プロテアソーム阻害薬,免疫調整薬,モノクローナル抗体薬のいずれかとデキサメタゾンとの組み合わせによる2剤ないし3剤併用療法を選択する.

◆病態と診断

A病態

・多発性骨髄腫は単クローン性形質細胞の骨髄内集積を特徴とする造血器悪性腫瘍である.

・高齢者に多く発症し,人口の高齢化に伴い増加傾向にある.

・大多数の症例は血中および尿中の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)と広範な骨破壊性病変を伴う.

・発症初期には臓器病変はないが,高Ca血症(C)腎障害(R)貧血(A)多発骨病変(B)などいわゆるCRAB症状や免疫不全による感染症などの多彩な症状を呈するようになる.

・一部に髄外腫瘤(形質細胞腫)で発症する場合もある.

B診断

・診断基準として,2015年に国際骨髄腫作業部会(IMWG:International Myeloma Working Group)から発表された多発性骨髄腫および関連疾患の診断基準が用いられている.

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