頻度 割合みる
治療のポイント
・治療の目標は血小板数の正常化ではなく,重篤な出血を予防しうる血小板数(通常,3万/μL以上)に維持することである.
・治療に伴う有害事象が生活の質を低下させていないかに留意する.
◆病態と診断
A病態
・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は抗血小板自己抗体によって血小板の破壊と巨核球での血小板産生低下が生じ,血小板が減少する自己免疫疾患である.
・SLEや慢性リンパ性白血病などに続発する2次性ITPでは,原疾患の治療が必要となる.
B診断
・ITPに特異的な検査がないため,血小板減少をきたす疾患を否定する除外診断が原則となる.
・骨髄検査は診断に必須ではないが,赤血球系,白血球系に軽度の異常を認める場合や治療抵抗例では他疾患を否定するために行う.
・血漿トロンボポエチンが著明高値であればITPをほぼ否定できる(保険適用外検査).
◆治療方針
A初期対応
脳出血や消化管出血など重大な出血をきたしているか,血小板数1万/μL未満でそのおそれが強い場合は下記Eの項に則って緊急治療を行う.それ以外ではピロリ菌感染に関する検査をして,ピロリ菌陽性の場合は除菌療法を行う.ピロリ菌陰性例および除菌治療無効例で血小板数3万/μL未満であれば以下B,C,Dの順に治療を行い,3万/μL以上なら経過観察する.
Bファーストライン治療
副腎皮質ステロイドを投与する.
Px処方例
プレドニゾロン(プレドニン薬)錠 1日0.5~1mg/kgを1~3回に分服 14日間
●治療の継続・変更の指標 血小板増加反応があってもなくても漸減し,投与開始6~8週後にプレドニゾロン10mg/日まで減量する.この時点で血小板数3万/μL未満であればセカンドライン治療に移行する.もし血小板数3万/μL以上あれば,それを維持できる最低用量に減量するか中止する.その後,血小板数3万/μLの維持にプレドニゾロン10mg/
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