今日の診療
治療指針

成人発症スチル病
adult-onset Still's disease
石井智徳
(東北大学病院臨床研究推進センター・特任教授)

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GL成人スチル病診療ガイドライン2017年版

治療のポイント

・治療における最大のポイントは適切な除外診断を行い,適切な症例に治療を行うことである.

・最初は十分なステロイド投与により寛解導入を行う.不十分な初期治療が,MASの頻度を高めることが知られている.

・難治例,再発例も多く,ステロイド単独療法では疾患制御が難しい場合,免疫抑制薬,抗サイトカイン療法としての生物学的製剤が必要となる.

◆病態と診断

A病態

・IL-1,IL-18,IL-6を中心としたサイトカインの上昇が顕著な疾患で,高サイトカイン血症による多彩な症状が出現する.マクロファージ,好中球,T細胞などの異常活性化が,感染症などを契機に引き起こされることが想定されている.

B診断

・特異的な検査が乏しい疾患であり,感染症,他の膠原病,悪性腫瘍などの除外診断を慎重に行うことが最も重要である.

・診断では,山口らの分類基準を参考にする.

◆治療方針

 初期寛解導入はステロイド投与であるが,寛解導入が困難な症例や,ステロイド減量時に再発する例も多い.その場合,免疫抑制薬あるいは生物学的製剤が併用されるが,免疫抑制薬としてはメトトレキサートあるいはシクロスポリンが,生物学的製剤としてはトシリズマブが使用される.海外ではIL-1阻害薬の有効性が報告されているが,日本では保険診療上の問題も多くほぼ使用されていない.

A寛解導入療法

 重症度に応じて0.6~1.0mg/kgのステロイドを投与する.臓器障害のコントロールが難しいときや,マクロファージ活性化症候群(MAS:macrophage activation syndrome)の合併時には,躊躇なくステロイドパルス療法を併用する.

Px処方例 1)を単独で,または2)と併用する.

1)プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1日6~16錠を2回(朝・夕食後)または3回(毎食後)に分

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