今日の診療
治療指針

リウマチ性多発筋痛症
polymyalgia rheumatica(PMR)
中島亜矢子
(三重大学医学部教授・リウマチ膠原病内科学)

頻度 割合みる(欧米,韓国からは,10万人年あたり2~112人と報告されている)

治療のポイント

・非特異的症候が中心で特異的指標がないため,ステロイド治療開始前に感染症を除外し,並行してほかの疾患を除外することが必要.

・巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併した場合には,その治療に準じる.

◆病態と診断

A病態

・高齢者に亜急性に発症する肩・大腿部など上肢帯・下肢帯のこわばり疼痛を主訴とする.

・時に,発熱,倦怠感,次第に体重減少,抑うつ状態をきたし,入院を要することもある.

・肩関節周囲の滑膜炎,肩峰下滑液包炎,転子部滑液包炎がみられる.

B診断

・50歳以上,両側の肩の痛みCRP上昇または赤沈亢進があり,①45分を超える朝のこわばり,②股関節痛または可動域制限,③リウマトイド因子,抗環状シトルリン化ペプチド抗体陰性,④肩・股関節以外の関節痛がない,などで分類される(米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会2012年の暫定分類基準).超音波所見があれば診断に加味される.

・感染症,悪性腫瘍の除外,高齢発症RAなどとの鑑別が重要である.

◆治療方針

 感染症が除外されたら,ステロイド投与を行う.これによりすみやかに症状・炎症所見の改善がみられることが,治療的診断ともなる.ステロイド中止を目指すが,ステロイドの減量により再発することもまれではない.可能な範囲で免疫抑制薬を併用して,ステロイドは極力必要最小限の使用にとどめる.巨細胞性動脈炎の合併があるときは,その治療に従う〔,「大型血管炎(高安動脈炎・巨細胞性動脈炎)」の項を参照〕.

A発症時

Px処方例

 プレドニゾロン(プレドニンもしくはプレドニゾロン)錠 1日10~20mgを1~2回に分服〔朝の単回,もしくは朝昼(朝晩)に分割〕.初期量を2週間継続,その後,10mg/日以上では2.5mgずつ2~4週間ごとに減量,10mg/日以下では1~2mgずつ4

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