頻度 あまりみない
GL好酸球性筋膜炎 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン(2016)
治療のポイント
・炎症後の筋膜や皮膚の硬化による四肢拘縮や運動制限が残らぬよう,すみやかに治療開始する.
・治療は経口ステロイドが基本であるが,抵抗例や減量での再燃例にはメトトレキサートなどの免疫抑制薬などを併用する.
・四肢拘縮予防のために早期からリハビリテーションを促す.
◆病態と診断
A病態
・本症は,四肢対称性の板状皮膚硬化と関節運動制限を特徴とする疾患で,Schulmanが初めて報告した.
・病理学的には,病初期に筋膜や皮下組織深部の浮腫と好酸球を含む単核球浸潤を認め,次第に,表皮の萎縮,筋膜肥厚,皮下組織と真皮下層のコラーゲン線維の膨化と増生が主体となる.
・検査上,末梢好酸球数増多は初期の特徴であるが,必発ではなく,経過とともに消失する.
・一部に発症直前の激しい運動や労作,打撲などが契機となる症例が存在し,他の自己免疫疾患の合併も報告されることから,傷害された筋膜での非特異的炎症と組織逸脱自己抗原に対する自己免疫機序が一因と考えられている.
・薬剤や化合物でも本症類似病態が出現する.L-トリプトファン製造時の混入不純物による好酸球増多筋痛症候群は,20世紀末の大事件であった.
B診断
・皮膚硬化を主病変とするものの,顔や手指は冒されない.
・病変部皮膚は,特徴的な腫脹と皺によって柑橘類の皮に例えられる(orange peel-like appearance).
・表在静脈に沿って皮膚が陥凹する様子は患肢挙上時に目立ち,groove signとよばれる.
・日本皮膚科学会「好酸球性筋膜炎診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」(2016年)では,診断基準として,大項目「四肢の対称性の板状硬化,ただし,レイノー現象を欠き,全身性強皮症を除外しうる」,小項目1「筋膜を含めた皮膚生検組織像で,筋膜の肥厚を伴う
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