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ニュートピックス
・血管内手術による中硬膜動脈塞栓術の併用が有効となる可能性がある.
・症候性慢性硬膜下血腫に対するデキサメタゾン(ステロイド)の効果は証明されなかった.
治療のポイント
・慢性の病態であっても急速に病状進行することがあるため,症候性あるいは脳圧迫が強い場合は比較的早期に外科的処置を行う.
・局所麻酔にて穿頭術を行えば,症状は比較的すみやかに改善することが多い.
・再発を繰り返す場合もあり,治療後であっても画像フォローアップが必要である.
◆病態と診断
A病態
・頭蓋内において脳表のくも膜と硬膜の間にある硬膜下腔に,被膜を形成した血腫を形成する.
・高齢者に多く,軽微な頭部外傷に起因することが多いが,原因不明のことも少なくない.
・頭痛,悪心などの頭蓋内圧亢進症状のほか,見当識障害や認知機能障害,不全片麻痺をきたす.重度の場合は意識障害,失命することもある.
・血腫増大因子,再発因子として血液凝固異常,抗血栓薬内服,脳萎縮などが関与する.
B診断
・頭部CTあるいはMRIにて硬膜下腔に三日月状の血腫を認める.血腫形成時期にもよるが,頭部CTでは低吸収から等吸収値として,頭部MRIでは低信号から高信号となって同定される.
・血腫成分の違いから液状成分と血球成分が分離したニボーを形成することもある.
◆治療方針
A無症候例
血腫が薄い場合は経過観察し,変化がないか画像フォローアップを行う.血腫の自然退縮もありうるが急激な増大の可能性もある.特に抗血栓療法中の場合は注意深い経過観察が必要である.無症候であっても,画像上の正中偏位や脳幹圧迫を認める場合は手術を考慮する.逆に,血腫量が比較的少ない場合であっても活動性の低下など軽微な症状を呈する場合もある.高齢者では軽微な頭部外傷後に数週間経過して発症することが多いため,外傷時に受診した際には慢性硬膜下血腫の可能性について本人,家族に説明