頻度 あまりみない(わが国の推定患者数は約1,000人で,有病率は人口10万人あたり0.7人である.アジア系人種,アフリカ系人種での有病率はわが国と同様だが,コーカソイドよりは頻度は低い)
GLHuntington病の診断,治療,療養の手引き(2020)
治療のポイント
・根本治療は現時点ではないが,核酸医薬,RNA干渉,遺伝子治療,遺伝子編集などの研究が開始されている.
・舞踏運動を含む運動症状や精神症状,認知機能障害などを呈するため,症例ごとに適切な対症療法が必要である.
◆病態と診断
A病態
・ハンチントン病は染色体4p16.3上にあるhuntingtin(HTT)遺伝子が原因遺伝子である,常染色体顕性遺伝の神経変性疾患である.ポリグルタミン病の1つで浸透率がきわめて高い.患者群ではCAGの繰り返し配列数が増加しており,26以下が正常範囲,27~39が中間伸長アレルで,27~35は非浸透,36~39は時に発症,40以上は発症する.
・40歳代での発症が最多で,罹病期間は,15~20年であることが多い.20歳以下で発症した群を若年型ハンチントン病とよぶが,まれである.若年型ハンチントン病の臨床症状は多彩で,ほとんどの症例で舞踏運動は発現しない.
・以前はハンチントン舞踏病と呼称されていたが,舞踏運動は臨床症状の一症状にすぎないことから,ハンチントン病と改称された.主な症状は,舞踏運動など不随意運動や持続運動保持障害に代表される運動症状,精神症状,認知機能障害である.
・早期は衝動性眼球運動障害,巧緻運動障害,持続運動保持障害,保続,固執,性格変化を呈する.その後,舞踏運動,精神症状,認知機能障害を示し,嚥下障害やてんかん発作が出現し,失外套状態となる.死因は,誤嚥性肺炎が多く,自殺の頻度も多い.
B診断
・診断は家族歴や病歴,症状,心理検査や画像検査(尾状核を中心とした脳萎縮など)にて行うが,
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