今日の診療
治療指針

緊張型頭痛
tension-type headache
大熊壮尚
(聖マリアンナ医科大学特任教授・脳神経内科)

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GL頭痛の診療ガイドライン2021

治療のポイント

・治療対象は,頻発反復性および慢性緊張型頭痛である.

・慢性緊張型頭痛では,鎮痛薬の過剰使用の有無を聴取する.

・予防療法の治療評価は6~12か月ごとに行う.

◆病態と診断

A病態

末梢性感作により,筋筋膜圧痛点(MTP:myofascial trigger point)からの侵害受容伝達の増加が痛み閾値を低下させるとともに,中枢性感作がMTPの発生に関与している.

・稀発反復性および頻発反復性緊張型頭痛では末梢性感作が,慢性緊張型頭痛では中枢性感作による疼痛メカニズムが関与する.

B診断

・国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に準拠する.

◆治療方針

 治療目的は,①頭痛発作時のすみやかな改善を目指し,②頭痛発作頻度の減少と日常生活におけるQOLの改善である.

A急性期治療

1.頭痛発作時の対応

Px処方例 下記のいずれかを頓用する.

1)アセトアミノフェン(カロナール)錠(500mg) 1回1錠 1日2回まで

2)アスピリン・ダイアルミネート(バファリン)配合錠A330 1回1錠 1日2回まで

3)ロキソプロフェン(ロキソニン)錠(60mg) 1回1錠 1日2回まで

4)チザニジン(テルネリン)錠(1mg) 1回1錠 1日2回

Px使い分けのポイント

・1)は15歳未満の小児あるいは妊婦に用いる.

・4)は頭頸部筋群の筋緊張が高い症例に用いる.

B予防療法

1.薬物治療

Px処方例

 アミトリプチリン(トリプタノール)錠(10mg) 1回0.5~7.5錠 1日1回

2.非薬物療法

 バイオフィードバックとリラクセーション法の併用が最も有効.

■専門医へのコンサルト

・治療効果を認めない場合は,脳神経内科または頭痛専門医へコンサルトする.

・心理的ストレス要因や精神疾患合併症例では,心療内科へコンサルトする.

■患者説明のポイント

・頓挫薬は,1週間のなかで2~3

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