今日の診療
治療指針

過眠症(ナルコレプシーを含む)
hypersomnia(including narcolepsy)
鈴木正泰
(日本大学主任教授・精神医学)

治療のポイント

・過眠症治療に用いられる中枢神経刺激薬のうち,メチルフェニデート(リタリン)とモダフィニル(モディオダール)については,流通が管理されており,登録医師のみが処方できる点に注意する.

Ⅰ.ナルコレプシー

頻度 割合みる

◆病態と診断

日中の過度な眠気を基本症状とし,これに情動脱力発作(笑ったり怒ったりした際に脱力する),睡眠麻痺(金縛り),入眠時幻覚などのレム関連症状を認める.レム関連症状については,必ずしもすべての症例で出現するわけではない.

・情動脱力発作を伴う場合はタイプ1,伴わない場合はタイプ2に分類される.

・覚醒神経系を制御するオレキシン神経の脱落が原因と考えられている(特にタイプ1).

・診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:polysomnography)および反復睡眠潜時検査(MSLT:multiple sleep latency test)が用いられる.PSGにて過眠をきたす睡眠障害がないことが確認され,MSLTにて平均睡眠潜時の短縮(8分未満)および入眠時レム睡眠期(SOREMP:sleep onset REM period)を2回以上認めた場合に診断される.SOREMPが2回未満の場合は,特発性過眠症と診断される.診断の詳細については,睡眠障害国際分類第3版〔ICSD(The International Classification of Sleep Disorders)-3〕を参照.

◆治療方針

 現時点で根治療法はない.夜間睡眠を十分確保するよう指導したうえで,対症療法的に薬物療法を行う.

A日中の過度な眠気

Px処方例 まず1)から行う.無効時もしくは副作用のために増量が難しい場合は,2)または3)への切り替えもしくは併用を検討する.

1)モダフィニル(モディオダール)錠(100mg) 1回1錠 1日1回 朝食後より開始.症状に合わせて1日3錠まで増

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