頻度 よくみる(五十肩:有病率約5%,腱板断裂:60歳以上の約25%)
治療のポイント
・五十肩:五十肩は俗称であり,正式には凍結肩(frozen shoulder)や肩関節周囲炎である.多くは可逆性の病変であり,原則的に保存療法で対処できるが,難治例には徒手授動術や肩関節鏡視下手術を適応する.
・腱板断裂:不可逆性の病変であり,原則的に若年者では手術療法,高齢者では保存療法で対処する.
◆病態と診断
・五十肩と腱板断裂はどちらも加齢を基盤に発生し,関節包・腱が加齢による退行変性により脆弱となり,そこに動的ストレスが加わることで関節包・腱の微小断裂(五十肩)や粗大な断裂(腱板断裂)を生じる.運動痛以外に夜間痛・安静時痛を生じることが共通している.一方,違いは好発年齢,拘縮の有無,可逆性かどうか,無症候性例の有無,轢音の有無などである.
A五十肩
・五十肩は,40代から50代に好発し,明らかな外傷なく,腱板断裂・石灰沈着などの器質的病変が存在しないにもかかわらず,肩の疼痛と運動制限を生じる病態である.
・X線・エコー・MRIなどの画像検査で腱板断裂・石灰沈着・変形性関節症などを否定し,血液検査で炎症性疾患を否定する.
・糖尿病や甲状腺疾患との因果関係が報告され,特に糖尿病においては発生頻度が2~3倍となり,より難治性となる.
・急性期(炎症期)・慢性期(拘縮期)・回復期の3つの病期がある.急性期では夜間痛・安静時痛が強いが可動域は保たれ,慢性期では疼痛は軽減するが拘縮により可動域が減少し,回復期は徐々に可動域が回復していく.
・以前は2年以内に自然治癒する疾患といわれていたが,最近の研究において平均的罹病期間はもっと長く,50%前後の例に何らかの疼痛や可動域制限が遺残すると報告されている.
B腱板断裂
・腱板断裂は,40歳以降で発生し60歳以上では25%程度にみられ,非外傷性に生じる場合が多い.また,
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