今日の診療
治療指針

腰部脊柱管狭窄症
lumbar canal stenosis
波呂浩孝
(山梨大学大学院教授・整形外科)

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GL腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021改訂第2版

ニュートピックス

・「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021改訂第2版」が2021年5月に刊行され,Clinical question 15項目,Background question 8項目からなる.

治療のポイント

・患者の問診が重要である.症状,疼痛やしびれなどの発症様式(日内変化,姿勢による誘発)について具体例を挙げて確認する.

・適切な画像診断を行う.

・保存治療と手術治療の適応について患者,家族と相談して決定する.

◆病態と診断

A病態

・加齢性変化によって椎間板が変性し,解剖学的に正常な髄核と線維輪の二重構造が破綻する.これに伴い,椎体や椎間関節の骨棘形成,椎間関節の変性,黄色靭帯の変性と肥厚,変性椎間板の脊柱管内への膨隆,などによって脊柱管や椎間孔が狭窄し,硬膜管や腰部神経根が圧迫される.また,前方すべりによる椎間不安定性による動的因子,あるいは,椎間板腔狭小化や上関節突起の骨棘形成,変性側弯,などの病態でも脊柱管あるいは椎間孔の狭窄が生じる.

・病態に伴う脊柱管狭窄の国際分類が報告されている(Clin Orthop Relat Res 115:4-5,1976).しかし,この分類には靭帯骨化や変性側弯が含まれておらず,また,馬尾型と神経根型の混合型が含まれていない.

・先天性には脊柱管狭窄を有する軟骨無形成症が有名である.また,加齢性変化によって馬尾,腰部神経根,血流が圧迫されて発症する.しかし,本症の定義については国際的な合意は得られていない.

B診断

1.症状,神経学的所見

・立位や歩行による負荷を加えると,腰部神経根の圧迫により片側性に殿部から大腿,下腿,足趾までの疼痛を発症する.馬尾の圧迫では腰部,会陰部,両殿部から両下肢に異常知覚やしびれ,脱力を発症する.異常知覚とは,強いしびれや火照りを訴える.また,

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