頻度 あまりみない
GL軟部腫瘍診療ガイドライン2020改訂第3版
治療のポイント
・悪性骨・軟部腫瘍は希少かつ多様であり,高い専門性を要する疾患である.初期治療が患者のADLや予後に影響してくるため,非専門医が無計画に治療することは避けるべきであり,遅滞なく画像検査を行い,早期に骨軟部腫瘍専門医がいる施設に紹介することが必要である.
◆病態と診断
A病態
・悪性骨・軟部腫瘍は,全身の四肢,体幹,後腹膜などさまざまな部位に発生する.多くの組織型があり,発症年齢もさまざまであることから多様性が高い.
・本邦における年間新規発症患者数は,悪性骨腫瘍が約700人,悪性軟部腫瘍が約2,000人と希少な疾患である.
・組織型ごとに好発年齢,好発部位に特徴がある.血行性転移により肺転移をきたすことが多く,予後因子として組織型,腫瘍サイズ,年齢などがあるが,高悪性度の肉腫の5年生存率は60~70%程度である.
B診断
・悪性骨腫瘍は,身体所見として局所の腫脹・疼痛・熱感の存在と,画像所見として単純X線像が診断に重要である(図1図).MRIでは単純X線像と比較して広範囲に腫瘍がみられることが多い.感染との鑑別が特にユーイング肉腫では重要である.
・悪性軟部腫瘍は,疼痛などの局所症状が乏しく,月単位で増大傾向を示すことが多い.一部の腫瘍を除いてMRIは非特異的な所見を呈するため,生検が必須である.画像検査をせずに無計画に切除することは避けるべきである.時に嚢胞性病変,感染,血腫などとの鑑別(図2図)が必要になるため,腎機能障害などがない場合には,造影MRIにより腫瘍の血流の有無を判断する.
・悪性骨・軟部腫瘍いずれも組織診断が必須である.根治的な手術の際に腫瘍による汚染を考えて生検ルートを合併切除する必要があるため,根治的切除を想定して生検部位を決める必要があることから生検も専門医に依頼したほうがよい.生検の方法と