今日の診療
治療指針

尋常性白斑
vitiligo vulgaris
種村 篤
(大阪大学准教授・皮膚科学)

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GL尋常性白斑診療ガイドライン(2012)

ニュートピックス

・白斑患者へのJAK阻害薬の臨床応用が急速に進んでいる.白斑患者157例に対するJAK阻害外用薬ルキソリチニブクリームの第Ⅱ相試験で,最も高濃度の1.5%クリームを24週使用した結果,顔面病変の有意な色素再生が得られた.

◆病態と診断

メラノサイトが何らかの原因で消失する疾患である.

分節に出現するものでは神経支配領域の活性酸素が,非分節に出現するものではメラノサイトの酸化ストレスに対する脆弱性および自己免疫応答が病態に影響しているとされる.

・鱗屑を伴わない境界明瞭な完全脱色素斑が,皮膚分節に沿って生じたり,全身特に左右対称性に生じたりする特徴的な臨床像を呈する.病初期には辺縁に紅斑を生じることがある.

・特徴的な臨床像および皮膚生検で確定診断可能である.

◆治療方針

 国内では,2012年に刊行された「尋常性白斑診療ガイドライン」のアルゴリズムに準じて行われる.

A軽症

Px処方例 下記のいずれかを用いる.あるいは1)と2)を併用,または1)~3)を併用する.

1)マキサカルシトール(オキサロール)ローション 1日1回 朝 塗擦保外

2)タクロリムス(プロトピック)軟膏(0.1%) 1日1回 夜 もしくは1日2回 朝・夕 塗布保外

3)フルオシノニド(トプシム)Eクリーム 1日2回 朝・夕 毎日または隔日 塗布

B中等症

 ①エキシマライト(もしくはレーザー)照射を週1~3回(病変が限局的な場合),または②全身ナローバンドUVB照射を週1~3回(病変が広範囲に及ぶ場合)行う.ただし,国内のガイドラインでは紫外線発癌を考慮し,16歳以上が適応としている.

 なお,完全にメラノサイトおよびメラノサイト前駆細胞が消失した病変へ漫然と外用・紫外線治療を行うべきではない.ガイドラインを参考に,達成目標を設定したうえで治療を継続す

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