今日の診療
治療指針

そばかす(雀卵斑),肝斑,黒皮症
ephelides,chloasma(melasma)and melanosis
林 伸和
(虎の門病院・皮膚科部長(東京))

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◆病態と診断

・雀卵斑は両頬から鼻根部にかけて半米粒大までの不整形の小褐色斑が多発する.小学生のころに発症し,思春期に症状が明確になる.常染色体優性遺伝で白人に多いとされている.

・肝斑は30歳以降の女性に好発する左右対称性に生じる顔面の褐色斑で,頬骨部から頬が好発部位だが,額や口囲に生じることもある.妊娠や経口避妊薬,閉経を契機に発症することがあり,性ホルモンとの関係が想定されている.

・黒皮症では,リール黒皮症や摩擦黒皮症がよく知られている.

・リール黒皮症は粗悪な化粧品による慢性の接触皮膚炎に伴う顔面の色素沈着であり,女子顔面黒皮症とも呼ばれる.近年では同様の症状を包括したpigmented contact dermatitisという概念ができている.

・摩擦黒皮症はナイロンタオルで体を洗っていると強くこすれる部分に色素沈着を生じる症状である.鎖骨や肩甲骨部に好発する.摩擦による炎症で生じると考えられている.

◆治療方針

 雀卵斑にはQスイッチレーザーが有効であるが,自費治療となる.肝斑には,ハイドロキノン(医療機関向けの化粧品として販売されている)の外用や,トラネキサム酸とビタミンCの内服が有効である.むやみに複数の美白化粧品を重ね塗ることは安全性に問題がある.レーザー照射で濃くなることが知られている.

 リール黒皮症あるいはpigmented contact dermatitisを疑う場合には,パッチテストを行い,原因となる化粧品を中止する.瘙痒や紅斑を伴う場合には,ステロイド外用やタクロリムス軟膏などを用いる.摩擦黒皮症ではナイロンタオルの使用を中止させる.

■専門医へのコンサルト

・顔面の色素性病変は診断が難しい.例えば雀卵斑と後天性真皮メラノサイトーシスや,肝斑と老人性色素斑では,治療方針が大きく異なるため,患者から相談を受けた場合には,早期から皮膚科専門医にコン

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