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治療のポイント
・更年期,特に周閉経期は心理・社会的にも不安定で抑うつ症状およびうつ病を発症しやすい時期である.
・治療の基本はまず対話療法である.患者の抱えるさまざまな悩みを傾聴するだけでも症状は緩和される.
・うつ病診断基準を満たす場合には,更年期に発症したものであっても,通常のうつ病と同様に,十分な休養および環境調整,抗うつ薬を中心とした薬物療法,精神療法を行う.
◆病態と診断
A病態
・更年期〔閉経前後5年(45~55歳頃)〕はいわば「変化と喪失の時期」であり,心理的・社会的ストレスを受ける機会が多く,それらがうつ病の発症に関与する.
・更年期の精神症状は大きく,①更年期症状としての抑うつ気分またはうつ症状と,②米国精神医学会のDSM-5でmajor depressive disorderと併記されるうつ病に分けられる.うつ病の発症には脳内のセロトニン系,ノルアドレナリン系の神経伝達物質が関与している.エストロゲンはこれらの神経伝達物質の代謝に影響を与えるとされており,エストロゲンの低下はうつ病発症のリスクを高める.
・更年期障害を主訴に受診した2,200余人を詳細に診察した結果,治療への反応性から約1/4はうつ病を主体とする気分障害であったと報告されている.そのほぼ全例に生活機能,社会機能の低下が認められ,約5%が希死念慮を認めていた.
・「更年期うつ病」の特徴は,一般的なうつ病と同様,抑うつ気分,不安,焦燥など気分障害が中心となる.感情面では,抑うつ気分,不安,イライラ感など,いわゆる「落ち込んだ」「ふさぎ込んだ」「晴れない」精神状態が2週間以上続く.思考面では,判断力や注意力が低下し,考えを進めることができなくなる.表情は乏しく,小声で,会話が少ない.考え方も悲観的で,自責的になる.行動面では,意欲低下,興味の喪失,能率低下,動作緩慢,行動量の減少が起こる.例えば
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