今日の診療
治療指針
産婦人科

外陰・腟の疼痛・瘙痒感の鑑別と治療
inflammatory disease and benign tumor of the vagina and vulva
加藤育民
(旭川医科大学教授・産婦人科)

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ニュートピックス

・閉経後の女性ホルモン低下に伴う外陰部・腟の萎縮変化およびそれに伴う身体症状として,閉経後性器尿路症候群(GSM:genitourinary syndrome of menopause)という概念が提唱されている.最近では,腟萎縮症状改善を目的としてレーザー治療や高密度焦点式超音波治療を用いて腟上皮の修復を促す治療法も行われている(保険適用外).また,女性のデリケートゾーンのケアとして石鹸やサプリメントも発売されてきている.

治療のポイント

・外陰や腟のかゆみ,痛みの症状は非常に頻度が高く,若年者から高齢者まで幅広くみられる.

・主症状,症状の経過,誘因の有無(下着,ナプキン,石鹸など),随伴症状(排尿痛,発熱,皮疹,精神症状など)を問診し,視診・触診による診断から進める.

・診察では,帯下状況(色,量,性状,におい),腫瘍の確認,疼痛および瘙痒部位の確認,鏡検,一般培養,クラミジア検査などを行う.

・鼠径部に腫大や疼痛を認める場合は悪性腫瘍も念頭におき,陰部瘙痒症を訴える場合は服薬中の薬剤も確認する.

Ⅰ.外陰痛(vulvodynia)

◆病態と診断

・3か月以上にわたって灼熱感と表現されることが多い慢性的な外陰部の不快感であり,視診で明らかな所見や特異的な神経学的異常がないことも多い.

・原因となる疾患は,性器ヘルペス,接触皮膚炎,パジェット病などの腫瘍性疾患,脊髄神経圧迫などの神経性疾患がある.

・痛みの部位・強さ・性質について十分に身体所見を確認し,画像検査や血液検査を行い器質的疾患や,機能的疾患の有無を確認する.

◆治療方針

 治療法は確立されてはおらず,神経障害性疼痛に利用される疼痛治療薬,心因性の側面から抗うつ薬や抗不安薬など向精神薬,漢方薬療法,カウンセリングや認知行動療法などの心理療法を行う場合もある.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)プレガバ

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