今日の診療
治療指針
小児

くる病
rickets
難波範行
(鳥取大学教授・周産期・小児医学)

頻度 あまりみない(ビタミンD欠乏性くる病:15歳未満人口10万対年間1.1人,5歳未満人口10万対年間3.5人,3歳未満人口10万対年間5.4人,FGF23関連低P血症性くる病:人口10万対年間5人)

ニュートピックス

・FGF23関連低P血症性くる病の治療としてブロスマブが登場したことにより,FGF23関連低P血症性くる病において,くる病以外の症状に対する集学的管理の必要性が高まってきた.

治療のポイント

・くる病の病因により治療方針が異なるため,正確な診断・病因鑑別が重要である.

・ビタミンD欠乏性くる病ではビタミンDの補充と同時に,ビタミンD欠乏の原因となった生活習慣の改善を指導・確認する.

・FGF23関連低P血症性くる病では,今後ブロスマブ投与症例が増えると思われるが,長期有効性・安全性に関するデータはまだ不十分であり,慎重なフォローを要する.

・治療中は治療効果および異所性石灰化などの副反応チェックのため,定期的に血中・尿中Ca,P,Cr,血中ALP,副甲状腺ホルモン(PTH),腎エコーなどをモニターする.

◆病態と診断

A病態

・くる病は骨端線閉鎖以前の小児に特有の疾患であり,主病態は骨近傍のP濃度低下による成長軟骨帯および類骨の石灰化障害である.

・病因はビタミンD作用不足(ビタミンD欠乏性くる病,ビタミンD依存性くる病など),およびP利尿亢進〔FGF23関連低P血症性くる病(X連鎖性低P血症性くる病など),腎尿細管異常など〕に大別される.

B診断

・くる病は,単純X線像でのくる病変化血清ALP高値,低P血症または低Ca血症,O脚などの臨床症状により診断される.

・くる病の病因の鑑別は,血中25水酸化ビタミンD〔25(OH)D〕,1,25水酸化ビタミンD〔1,25(OH)2D〕,副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone),線維芽細胞増殖因子23(FGF23:

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