診療支援
治療

消化管・泌尿生殖器寄生の原虫症
intestinal and urogenital protozoan diseases
渡辺恒二
(国立国際医療研究センター・エイズ治療・研究開発センター専門外来医長(東京))

Ⅰ.腸管寄生性原虫症

頻度 ときどきみる〔ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)〕

頻度 ときどきみる(クリプトスポリジウム症;時にアウトブレイク)

頻度 あまりみない(サイクロスポーラ症;輸入感染症が多い)

GL寄生虫症薬物治療の手引き-2020-改訂第10.2版

治療のポイント

・検出された病原体により,有効な抗菌薬が異なる.

・起因病原体の同定が重要である.

◆病態と診断

A病態・臨床症状

・小腸が感染主座であり,水様下痢体重減少が主症状である.

・ジアルジア症では,まれに胆管炎や胆嚢炎を合併する.

B検査・診断

・糞便の「塗抹顕微鏡検査(直接塗抹検査)」および「虫卵・原虫(集卵検査)」を依頼する.

・上記検査は,糞便を顕微鏡下で観察する形態的な同定であるため,検査感度は50%前後であり,検査者の技能によっても大きく左右される.

上記検査は,細菌・培養検査とは異なる.原虫検査の際には,検査項目の選択に注意が必要である.

◆治療方針

 同定された病原体に感受性のある抗菌薬を投与する.

Aランブル鞭毛虫症(ジアルジア感染症)

Px処方例 下記1)を第1選択,2)を第2選択として用いる.

1)メトロニダゾール(フラジール)内服錠 1回250mg 1日3回 5~7日間

2)チニダゾール錠 1回200mg 1日2回 7~10日間.または1回2,000mg 単回投与保外

 上記治療で奏効しない場合,専門医に相談する.

Bクリプトスポリジウム症

 保険診療で有効な治療薬はないため,補液などの対症療法を行う.免疫不全宿主(HIV感染症,骨髄移植例など)では,原疾患の治療を行う.

 難治例では,専門医に相談する.

Cサイクロスポーラ症

Px処方例 下記を第1選択として用いる.

 スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ)配合錠 1回2錠 1日2回 7~10日間

Ⅱ.腟トリコモナス症

頻度 よくみる(産婦人科領域)

GL性感染症 診断・治

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