診療支援
治療

蟯虫症
enterobiasis
前田卓哉
(埼玉医科大学教授・臨床検査医学)

頻度 ときどきみる

GL寄生虫症薬物治療の手引き-2020-改訂第10.2版

治療のポイント

・感染した雌成虫は産卵後に死滅するため,再感染がなければ本来は自然駆除が可能である.

・治療失敗例の多くは,肛囲を掻爬した手指,もしくはシーツや下着に付着した虫卵の経口摂取による再感染に起因する.

◆病態と診断

A病態

・全世界中に分布する蟯虫(Enterobius vermicularis)感染症である.

・盲腸に寄生し交尾をした雌虫は夜間に肛門まで下降し,肛門周囲に多量の虫卵を排卵する.これが強い瘙痒感を引き起こし,掻爬することで手指や爪間,さらにはシーツや下着に虫卵を付着させ,感染源となる.

・生活環境に拡散された虫卵は家族内感染の原因となるほか,患者自らも再感染を繰り返す.

B診断

セロファンテープ法による虫卵の検出が基本であり,市販のセロファンテープで代用できる.

・腸管内では産卵せず,糞便からは検出できない

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