診療支援
治療

消化管寄生条虫症
cestodiasis in gastrointestinal tract
平井由児
(東京医科大学八王子医療センター教授・感染症科)

頻度 あまりみない

GL寄生虫症薬物治療の手引き-2020-改訂第10.2版

治療のポイント

・駆虫前後で下剤を投与し,便が廃棄されないよう情報共有する.ポータブル便器,バット,ザルなどを準備する.

◆病態と診断

A病態

・日本海裂頭条虫には,サケ科魚類の生食で感染する.

・2001~2016年に日本で報告された条虫症の86.1%が日本海裂頭条虫である.3~7月に多く,サクラマスやシロサケの漁期にも一致しているが,通年性に患者の発生がある.サケ類の流通の拡大,ほかの魚類の関与,日本への旅行者の増加などにより,感染者数は増加する可能性がある.

・無鉤条虫はウシに,有鉤条虫はブタに寄生し,不十分な加熱や生食が感染の原因である.

B診断

・駆虫前に,自宅での採取も含め排泄物中の虫体を確保し,純粋エタノールに保存する.

・血清寄生虫スクリーニング検査に,有鉤嚢虫の評価が可能なものがある.

◆治療方針

 下剤→駆虫→下剤の順で虫体を確認する.日本海裂頭条虫は頭部を確認する.

A下剤

 駆虫前日は低残渣食や大腸検査食とし,駆虫日の朝食を止める.

1.駆虫前日の下剤

Px処方例 20時に下記1)を,21時に2)を用いる.

1)クエン酸マグネシウム(マグコロール)散(34g/包) 1回1包 飲用水300mLに溶解し内服保外

2)ピコスルファート(ラキソベロン)内用液 1回10~20mgまたはセンノシド(プルゼニド)錠 1回24mg保外

2.駆虫日の下剤

Px処方例 プラジカンテル内服から2時間後に下記を用いる.

 クエン酸マグネシウム(マグコロール)散(34g/包) 1回1包 飲用水300mLに溶解し内服保外

B駆虫法

1.プラジカンテルによる駆虫(日本海裂頭条虫症・無鉤条虫症・有鉤条虫症)

Px処方例

 プラジカンテル(ビルトリシド)錠(600mg) 1回10mg/kg 単回,午前中の早い時間に内服保外

2.ガストログラフインによ

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