診療支援
治療

植込み型除細動器
implantable cardioverter defibrillator(ICD)
草野研吾
(国立循環器病研究センター・心臓血管内科部門長(大阪))

ニュートピックス

・終末期におけるICDの除細動機能停止(deactivation)に関して,2021年に「JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療」,「循環器疾患における緩和ケアについての提言」がだされ,医療従事者を含む話し合いのプロセスが記載された.

治療のポイント

・植込み型除細動器(ICD)は,心臓突然死の原因となる持続性心室頻拍(VT),心室細動(VF)を自動で感知し,停止させる植込み型デバイスである.

・VT/VFを認める場合の2次予防として,あるいは将来的に起こる可能性が高い症例への1次予防として用いられる.

・経静脈的に心内にリードを留置する経静脈ICD(TV-ICD)と,皮下にリードを留置する完全皮下植込み型ICD(S-ICD)がある.

・頻拍を停止させる方法は電気ショックによる除細動と抗頻拍ペーシングの2種類があるが,適切・不適切にかかわらずショック作動が予後を悪化させることが報告され,ショック作動を軽減させるプログラミングが重要である.

・長期的な心臓突然死のリスクが確定していない期間や心臓の状態が変化する期間の症例には,着用型自動除細動器(WCD)を使用する.

・遠隔モニタリングが予後を改善する可能性が報告されている.

◆治療方針

A病態と適応

 致死的な持続性心室頻拍(VT:ventricular tachycardia)や心室細動(VF:ventricular fibrillation)の発生リスクが高い場合に,突然死予防としてICD植込みを考慮する.

1.2次予防

 原因が除去できない症例においては,原疾患や心機能を問わずICDの植込みを考慮する.WPW症候群,電解質異常,心筋梗塞発症後急性期(48時間以内),冠攣縮性狭心症などによる場合は,原因に対する治療を優先して行うが,治療後も,将来的に不整脈発生リスクが高いと判断される場合はICDを

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