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GL2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療
GL2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法
ニュートピックス
・安定狭心症患者を対象に至適薬物療法と侵襲的治療法が比較されたISCHEMIA試験で有意差がなかったことを受けて,日本循環器学会ガイドライン「安定冠動脈疾患の診断と治療」のフォーカスアップデート版が発表され,冠動脈CTまたは負荷イメージングにて冠動脈狭窄または心筋虚血が認められた場合であっても,それが左主幹部病変または左主幹部相当病変でなければ至適薬物療法が優先され,侵襲的冠動脈造影は薬物治療抵抗性など,高リスク病態に適応されることとなった.
治療のポイント
・生活習慣の改善を行う.
・至適薬物療法を行う.
・患者・家族の意向も含め,侵襲的治療による血行再建の適応を吟味する.
◆病態と診断
A病態
・多くは動脈硬化による冠動脈の狭窄が要因となる.
・運動などに伴う心筋の酸素・エネルギー需要の増加に見合う心筋血流の増加が,冠動脈の狭窄により得られないことで心筋虚血が発生し,狭心症症状が出現する.
B診断
・胸痛の性状から狭心症が疑われる場合に,冠動脈CTによる冠動脈狭窄,負荷イメージングによる心筋虚血の検索が行われる.
・上記にて冠動脈狭窄,心筋虚血の所見が存在する場合,これまでは侵襲的冠動脈造影が行われたが,左主幹部病変または左主幹部病変相当病変でなければ至適薬物療法が優先され,侵襲的冠動脈造影は薬物治療抵抗性など,高リスク病態に適応されることとなった.
・左主幹部病変または左主幹部相当病変が疑われる場合は,侵襲的冠動脈造影を施行する.
◆治療方針
安定狭心症の治療目的は,①狭心症発作を予防し患者のQOLを改善すること,②心臓死,心筋梗塞を予防して長期予後を改善することにある.ISCHEMIA試験の