診療支援
治療

慢性心不全
chronic heart failure
絹川弘一郎
(富山大学大学院教授・第二内科)

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GL2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療

GL急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

治療のポイント

・左室駆出率(LVEF)により3つに分類する.

・LVEF<40%はquad therapy〔レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬/アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)・β遮断薬・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)・SGLT2阻害薬〕を施行する.

・LVEF≧40%に対するSGLT2阻害薬の予後改善効果が明らかとなった.

◆病態と診断

A病態

・基礎疾患として弁膜症,虚血性心疾患,高血圧,心筋症,先天性心疾患,不整脈などの心臓機能障害を有する.

・少なくとも心不全と診断しうる症状が過去にあるか,現在もある.

・進行性の病態であり,治療抵抗性に至ることが少なくない.

B診断

・まず症状の聴取が重要である.左心不全の症状として呼吸困難,息切れ,特異的なものに起坐呼吸がある.右心不全の症状として食思不振,腹部膨満感などがある.

・次に身体所見をとる.左心不全の所見として肺湿性ラ音,喘鳴,特異的にはⅢ音がある.右心不全の所見として下腿浮腫,肝腫大,特異的なものとして頸静脈怒張がある.

・さらに心臓疾患の既往があるか,既往がなければまずは心電図・胸部X線で異常があるか,を検索する.およそすべての心臓疾患が候補となる.

・症状があり,身体所見で心不全を示唆する所見があり,心臓疾患の合併が濃厚であれば,ほぼ心不全と診断しうる.すべてを満たさない場合にも心不全の疑いはあるため,脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP:brain natriuretic peptide)またはNT-proBNPの測定や心エコーを施行し,さらに精度の高い診断に進む.

・BNP≧100pg/mL(NT-proBNP≧400pg/mL)で心不全を強

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