GL2021年改訂版重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン
◆病態と診断
・植込み型VADまたは心移植の対象となるのは,心不全診療ガイドラインにおいてステージD(Universal DefinitionではAdvanced HF)に分類される重症心不全である.
・ステージDとは標準的薬物治療が行われ,適応があれば心臓再同期療法など非薬物治療を施行されたあと,NYHA心機能分類Ⅲ度以上の症状が改善しないものを指す.心不全治療後の退院からおおよそ6か月以内に入院することも参考になる.
・ステージDに含まれる基礎疾患に決まったものはないが,基本的には,全身性疾患や多臓器不全を伴わない心臓に限局した病態と考えるとよい.
・移植適応外の患者を対象とする植込み型左室補助人工心臓(LVAD:left VAD)治療(DT:destination therapy)が保険適用となっている.
◆治療方針
A植込み型LVAD(BTT)
心臓移植までつなぐために(BTT:bridge to transplant)植込み型LVADを行う場合,まず移植実施施設において適応検討を行い,日本循環器学会心臓移植適応検討部会の適応判定を受けたのち,日本臓器移植ネットワークに登録することが必要である.
現在適応となっている植込み型VADはすべて左心補助用であり,右心補助用の植込み型VADはまだない.移植適応患者のうち静注強心薬依存状態または一時的補助循環(大動脈バルーンポンプ・インペラ)に依存している状態が適応と考えられている.緊急時に体外設置型VADが装着された症例は,基本的に移植登録を経てからでなければ植込み型LVADへ移行できない(BTB:bridge to bridge).
Px処方例 HeartMate3(遠心ポンプ),EVAHEART2(遠心ポンプ),Jarvik 2000(軸流ポンプ)のいずれかを使用
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