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GL便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症・慢性下痢症)
治療のポイント
・急性下痢の多くは自然緩解する.
・薬剤が原因であることも少なくない.
・難治性慢性下痢では,胆汁酸性下痢を考慮にいれた治療を検討する.
◆病態と診断
A病態
・水様,泥状など水分を多く含む形のない便を排泄すること,通常排便回数の増加(>3回/日)を伴う.
・発生機序により,浸透圧性(腸管で吸収されにくい高浸透圧性物質による),分泌性(ホルモンや薬物などが影響して腸粘膜から水・電解質が過剰分泌されることによる),滲出性(腸粘膜の炎症による),腸管運動異常性(腸蠕動の亢進や低下による)に分類される.
・持続期間により2週間以内の急性,4週間以上持続する慢性に分類される.
B診断
・詳細な病歴聴取が重要である.
・下痢が「急性か,慢性か」「炎症性か(粘液便や血便を伴う),脂肪性か(黄色調が強く光沢があり量が多い,便が水に浮く),水様性その他か」,「食事内容,暴飲暴食,飲酒習慣,食物アレルギー,服薬,ストレス,併存疾患,外科手術歴,放射線治療歴,海外渡航歴」について聴取し,原因を想定する.日常診療で頻用される薬剤(非ステロイド抗炎症薬,プロトンポンプ阻害薬,降圧薬,抗不整脈薬,脂質異常改善薬,血糖降下薬,抗不安薬,認知症治療薬,コルヒチンほか)が下痢の原因になっている場合も少なくない.
・「便通異常症診療ガイドライン2023(慢性下痢症)」において,慢性下痢症の診断基準は,「軟便あるいは水様便が4週間以上持続または反復している病態」とされた.
・身体診察では,脱水の有無や程度,腹部腫瘤・蠕動異常・圧痛など腹部所見を確認する.
・急性下痢の原因のほとんどは感染症であり,ウイルス性が大半を占める.
・慢性下痢には過敏性腸症候群や炎症性腸疾患が多いが,その原因は多岐にわたる.疾患の鑑別に下記1~3の検査や診断基準を用いる.
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