GL胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)
GL機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版
治療のポイント
・QOLの改善のためにも症状に対する治療をまず行う.
・むねやけ,げっぷは,胃食道逆流症(GERD)(→.「胃食道逆流症・逆流性食道炎・食道潰瘍,バレット食道,食道裂孔ヘルニア」の項参照),もたれ感は,機能性ディスペプシア(FD)(→,「機能性ディスペプシア」の項参照)との関連が強く,その治療法に準じる.また,H. pylori除菌で症状が改善することもある(→,「H. pylori感染胃炎」の項参照).
・症状の持続や警告徴候(体重減少,貧血など器質的疾患を疑わせる徴候など)を認める場合は内視鏡検査などの精査を早めに行い,器質的疾患の有無を確認する.
◆病態と診断
・むねやけは,下部食道括約筋の機能低下により主に胃酸を含む胃内容物が食道内へ逆流することによって引き起こされるが,胃酸以外の逆流が症状を誘発する場合や,食道の知覚過敏も影響する.
・げっぷは下部食道括約筋の弛緩により引き起こされる.
・もたれ感には,胃排出能遅延などの胃・十二指腸運動機能異常および十二指腸の知覚過敏が関連する.
・器質的疾患がない場合の病態評価には,24時間食道多チャンネルインピーダンスpHモニタリング検査(MII-pH)を施行する.
◆治療方針
PPIなどの酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬を投与する.
Px処方例 下記1)~3)を症状に応じて適宜用いる.
1)エソメプラゾール(ネキシウム薬)カプセル(20mg) 1回1カプセル 1日1回 朝食前,またはラベプラゾール(パリエット薬)錠(10mg) 1回1錠 1日1回 朝食前,またはボノプラザン(タケキャブ薬)錠(10・20mg) 1回1錠 1日1回 朝食後
!注意 保険診療上は,上記のPPI常用量および