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治療

急性腎炎症候群(感染に伴う腎炎含む)
acute nephritic syndrome(including infection-related glomerulonephritis)
坪井直毅
(藤田医科大学教授・腎臓内科学)

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ニュートピックス

・急性腎炎症候群を呈する代表的な疾患として感染関連糸球体腎炎(IRGN)が挙げられる.IRGNは,細菌,ウイルス,真菌などすべての微生物感染により惹起される糸球体腎炎を包括する疾患概念であるが,感染後糸球体腎炎と活動性感染に伴う糸球体腎炎に大きく分けられる.感染後糸球体腎炎として,小児期から若年期に好発する溶連菌感染後の急性糸球体腎炎(PSAGN)が古くより知られているが,先進国においては生活環境の改善と抗菌療法の普及に伴い,その発症頻度は減少している.近年では,合併症を伴う高齢者などで感染後あるいは感染期に急性糸球体腎炎を発症する頻度が増加している.

治療のポイント

・原則として安静・塩分制限・降圧療法を含む保存的治療が中心となる.

・PSAGNでは診断時に感染が残存していない場合が多く,一般的に抗菌療法は不要である.一方,非溶連菌性IRGNでは活動性感染併存例が多く,感染巣同定と感染細菌に対する抗菌療法が必須となる.

・PSAGNは時間経過により自然治癒する症例が多いため,副腎皮質ステロイド投与の適応とはならない.また非溶連菌性であっても,活動性感染が併存している場合には,感染悪化のリスクから副腎皮質ステロイドやその他の免疫抑制治療の対象とはならない.

◆病態と診断

A病態

・急性腎炎症候群は,比較的急性に発症し,血尿・蛋白尿,乏尿,浮腫,高血圧ならびに糸球体ろ過量の減少を認めるものをいう.

・急性糸球体腎炎(AGN:acute glomerulonephritis)の経過を呈しうる腎疾患には感染関連糸球体腎炎(IRGN:infection-related glomerulonephritis)のほかに,IgA腎症やループス腎炎も挙げられるが,詳細は他項に譲る.

・溶連菌感染後の急性糸球体腎炎(PSAGN:poststreptococcal acute

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