診療支援
治療

骨髄異形成症候群
myelodysplastic syndromes(MDS)
三谷絹子
(獨協医科大学主任教授・内科学(血液・腫瘍))

頻度 ときどきみる

GL造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版

GL造血細胞移植ガイドライン 骨髄異形成症候群・骨髄増殖性腫瘍(成人)第3版(2018)

GL骨髄異形成症候群診療の参照ガイド令和4年度改訂版(2023)

治療のポイント

・治療は低リスクと高リスクで異なる.

・低リスクでは,血球減少に対する支持療法が主な治療になる.

・高リスクでは,可能であれば可及的すみやかに造血幹細胞移植が実施される.移植非適応な場合は,分子標的療法(アザシチジン)が選択される.

◆病態と診断

A病態

・造血幹細胞に遺伝子変異が蓄積することによって発症する.

・骨髄は過形成であるが,無効造血のため末梢血の血球は減少する.

・約半数の患者が急性骨髄性白血病へ移行する.

B診断

・末梢血と骨髄の芽球比率が20%未満である.

・血球減少や異形成(形態異常)が認められ,他の疾患が除外できる.

・末梢血の単球数が1,000/μL未満である.

・急性骨髄性白血病に特徴的な染色体異常を認めない.

・骨髄異形成症候群を推測させる染色体異常遺伝子変異が観察される.

◆治療方針

 治療選択のためのリスク分類に使用されるのが,予後判定のための国際予後判定システム(IPSS:International Prognostic Scoring System)であるが,現在は改訂版IPSS(IPSS-R)が使用されることが多い().IPSS-Rでは,リスクをVery low,Low,Intermediate,HighとVery highの5段階に分類するが,Very lowとLowを低リスク,HighとVery highを高リスク,Intermediateは他の因子を加味して低リスクまたは高リスクに分類することが有用である.低リスクでは血球減少に対する支持療法,高リスクでは可能であれば治癒を目指した造血幹細胞移植が選択される.

A低リスク

1.保存的治療

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