診療支援
治療

多発性骨髄腫
multiple myeloma(MM)
飯田真介
(名古屋市立大学大学院教授・血液・腫瘍内科学)

Ⅰ.多発性骨髄腫

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版

ニュートピックス

・B細胞成熟抗原(BCMA:B-cell maturation antigen)を標的としたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法であるイデカブタゲンビクルユーセルとシルタカブタゲンオートルユーセルが2022年に承認された.

治療のポイント

・未治療移植適応患者には,寛解導入療法に続いて自家造血幹細胞移植(ASCT:autologous stem cell transplantation)を併用した大量メルファラン療法を実施することが推奨される.

・未治療移植非適応患者には,抗CD38抗体薬であるダラツムマブとプロテアソーム阻害薬または免疫調節薬を含む併用化学療法が推奨される.

◆病態と診断

A病態

・多発性骨髄腫(MM)は形質細胞腫瘍であり,単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)血症または蛋白尿(ベンス・ジョーンズ蛋白)を呈することが多い.

・意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS:monoclonal gammopathy of undetermined significance)は60歳以上の1%に認められ,年1%の患者がMMに進展する.

・くすぶり型多発性骨髄腫(SMM:smoldering MM)は,診断後5年間は年10%がMMに進展する.

B診断

・国際骨髄腫作業部会(IMWG:International Myeloma Working Group)の2014年版診断基準が用いられる.

・治療を要するMMは,骨髄腫診断事象であるCRAB症候〔高Ca血症(C),腎不全(R),貧血(A),溶骨病変(B)〕を有する.

・臨床病期として,血清β2 ミクログロブリンと血清アルブミン値による国際病期分類(ISS:International Staging System),またはISSに血清L

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