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治療

特発性血小板減少性紫斑病
idiopathic thrombocytopenia(ITP)
山之内純
(愛媛大学医学部附属病院准教授・輸血・細胞治療部)

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GL成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド(2019改訂版)

ニュートピックス

・脾臓チロシンキナーゼ阻害薬であるホスタマチニブ(タバリス)錠が2023年より慢性特発性血小板減少性紫斑病に使用可能となった.

治療のポイント

・治療の目標は,血小板数を正常に戻すのではなく,出血症状の改善,重篤な出血の予防である.

◆病態と診断

A病態

・基礎疾患や薬剤などの明らかな原因がなく血小板の破壊が亢進して,血小板減少をきたす疾患を,特発性血小板減少性紫斑病という病名でよんでいた.

・しかし,ITPは抗血小板自己抗体を中心とする免疫的機序による血小板破壊亢進および血小板産生低下により血小板減少をきたす自己免疫疾患であるという理解が進んできたことから,近年,免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia)の名称が普及しつつある.

B診断

・ITPに特異的な検査は確立されておらず,診断は基本的に除外診断による.

・骨髄検査はITP典型例では必須の検査ではない.ただし,非典型例,治療抵抗例では骨髄検査を積極的に行い,他疾患を除外することが望ましい.

・ITPにおいて,血小板寿命は短縮しており,幼若な血小板の割合を示す網状血小板比率(RP%:percentage of reticulated platelet)や幼若血小板分画比率(IPF%:percentage of immature platelet fraction)が高値を示すことが多い.

・血中TPO(トロンボポエチン)濃度はITPでは正常~軽度高値であるが,再生不良性貧血のような骨髄低形成による血小板減少では著明な高値を示す.

◆治療方針

A初期対応

 脳出血や消化管出血など重大な出血をきたしているか,血小板数1万/μL未満でそのおそれが強い場合は下記Eの項目に従って緊急治療を行う.それ以外では,まずHelicobact

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