頻度 あまりみない
GL血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2023
ニュートピックス
・フォン・ヴィレブランド因子(VWF:von Willebrand factor)に対する低分子抗体カプラシズマブが,後天性TTPに対する新規の作用機序をもつ薬剤として2022年本邦において承認された.
治療のポイント
・後天性TTPでは,できるだけ早期に血漿交換を行い,ADAMTS13に対する自己抗体(インヒビター)を血液中から取り除きADAMTS13を補充することが重要である.
・ADAMTS13に対する自己抗体産生を抑制するため,副腎皮質ステロイドや難治例にはリツキシマブを投与する.
◆病態と診断
A病態
・フォン・ヴィレブランド因子(VWF)は,主に血管内皮細胞で産生され超高分子量重合体として血液中に分泌されると,直ちにメタロプロテアーゼADAMTS13によってさまざまな大きさに切断される.
・TTPではADAMTS13活性が著減するため,超高分子量VWF重合体(UL-VWFM:unusually large VWF multimer)が切断されずに血液中に残存して微小血管内などの高ずり応力下で過剰に活性化することで,血小板血栓を誘発し血栓性微小血管症(TMA:thrombotic microangiopathy)をきたす.
・TTPでADAMTS13活性が低下する原因として,ADAMTS13に対する自己抗体によるものを後天性TTPといい,ADAMTS13遺伝子の異常によるものを先天性TTP(Upshaw-Schulman症候群)という.
B診断
・TTPの古典的5徴①血小板減少(血小板数1万/μL程度),②溶血性貧血(直接クームス試験陰性),③腎機能障害,④発熱,⑤動揺性精神神経症状のうち①と②を認めたら,ADAMTS13活性を測定して10%未満に著減しているとき,TTPと診断する.
・破砕赤血球