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GL科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス(2009)
ニュートピックス
・日本血栓止血学会学術標準化部会(SSC)DIC部会は新たに診療ガイドライン(仮称)を作成中.
治療のポイント
・各疾患の治療においては常にDICの併発を疑い,診断したら即座に治療を開始する.
・血液疾患のDICの臨床症状は出血傾向を示すものが主であり,敗血症などのDICでは臓器障害を起こすものが主である.基礎疾患ごとにその治療目標は異なる.
・スコアリングシステムに則った診断基準により,各検査項目をオーダーする.
・血小板の上昇や基礎疾患の活動性の低下あるいは消失などを考慮して治療を終了する.
◆病態と診断
A病態
・DICは,さまざまな基礎疾患の存在下で獲得された,局所制御あるいは代償制御を外れた全身性の血管内凝固活性をきたしたものである.
・病理学的な本態は全身血管の微小血栓症である.
・基礎疾患によりDICの凝固・線溶活性,あるいは炎症や免疫反応はかなり異なっている.
・敗血症のDICではアンチトロンビン(AT)が低下するが,血液疾患のDICでは,感染症・著しい炎症・肝不全などを合併していない限りAT活性は低下しない.
B診断
・わが国では以下の4つの診断基準が知られている(産婦人科・小児科領域を除く).
1)旧厚生省(DIC研究班)の診断基準(1988年改訂):主に血液内科領域,一般内科領域で使用されている.
2)国際血栓止血学会(ISTH)overt DIC診断基準:国際的なスタンダード.
3)日本救急医学会急性期DIC診断基準(2005年):主に敗血症診療,救急医療領域で使用されている.
4)日本血栓止血学会DIC診断基準2017年版:造血器,感染症,一般型と幅広く対応しており,浸透具合はこれからの課題.
◆治療方針
DICの治療は,①基礎疾患の治療,②生理活性物質の補充療法を含む抗