診療支援
治療

肥満症
obesity disease
高橋路子
(神戸大学医学部附属病院特命講師・栄養管理部・糖尿病・内分泌内科)

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GL肥満症診療ガイドライン2022

ニュートピックス

・日本肥満学会による「肥満症診療ガイドライン」が改訂された.

・肥満症治療薬としてGLP-1受容体作動薬セマグルチド(ウゴービ)が承認された.

・リパーゼ阻害薬のオルリスタットが一般用医薬品として承認された.

治療のポイント

・肥満症の治療目的は,肥満に起因・関連する健康障害の予防・改善とQOLの改善である.

・肥満症の減量目標は3~6か月で現体重の3%以上,高度肥満症の場合は5~10%とするが,合併する健康障害に応じて設定する.

・肥満症治療の基本は食事療法,運動療法,行動療法である.

・目標未達成例に対しては超低エネルギー食,薬物療法,外科療法を検討する.

・多職種チームによるサポートを行うことが望ましい.

◆病態と診断

A病態

・肥満とは脂肪が過剰に蓄積した状態で,肥満症は肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか,その合併症が予測される場合で医学的に減量を必要とする病態をいい,疾患単位として取り扱う.

・わが国におけるコホート研究では,BMIが25(kg/m2)以上になると高血圧や脂質異常症が,27以上になると高血糖のオッズ比が健常人の2倍になることから,健康障害を発症するリスクを考慮してWHO基準の過体重にあてはまるBMI≧25を肥満の定義としている.

・脂肪の過剰蓄積は量のみならず部位(皮下脂肪,内臓脂肪,異所性)も重要であり,特に内臓脂肪蓄積が合併症と関連する.

B診断

・肥満と判定されたもののうち2次性肥満は原疾患への対応を必要とする場合が多いため,まず原発性肥満と2次性肥満を判別する.次にBMI<35の肥満とBMI≧35の高度肥満を区別する.肥満症の診断に必要な健康障害(①耐糖能障害,②脂質異常症,③高血圧,④高尿酸血症・痛風,⑤冠動脈疾患,⑥脳梗塞・一過性脳虚血発作,⑦非アルコール性脂肪性肝疾患,⑧月経異常・女性不妊,

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