診療支援
治療

重症アレルギー疾患の抗体療法
biologics for severe allergic diseases
中込一之
(埼玉医科大学教授・呼吸器内科・アレルギーセンター)

頻度 ときどきみる

GLアレルギー総合診療のための分子標的治療の手引き(2022)

ニュートピックス

・気管支喘息では抗TSLP抗体テゼペルマブ(テゼスパイア)が使用可能となった.

・アトピー性皮膚炎では抗IL-31受容体A抗体ネモリズマブ(ミチーガ)が使用可能となった.

治療のポイント

・抗体(生物学的製剤)治療は,一般にアレルギー疾患が重症な場合に使用され,症状の改善効果,また多くの製剤で全身ステロイドの減量効果が期待できる.

・生物学的製剤は,ほかの合併するアレルギー疾患にも効果を示すことがしばしばあり,その選択には併存アレルギー疾患を考慮することが重要である.

◆病態と診断

・他項および各疾患のガイドラインを参照.

・重症喘息の診断前には①喘息診断の妥当性,②吸入手技と治療アドヒアランス,③増悪因子の回避を評価し,対応することが重要である.

◆治療方針

A重症気管支喘息

 経口ステロイドを連用している場合,全身性副作用のリスクが高まるため,生物学的製剤の使用を検討する.全身性ステロイドを年に2回以上追加使用する場合も生物学的製剤の使用を検討する.

 薬剤は,血中好酸球数や呼気NOなどのバイオマーカー,併存疾患を軸として選択する.費用,投与間隔,自己注射の可否,長期安全性も考慮する.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)オマリズマブ(ゾレア)注 1回75~600mg 2または4週ごと 皮下注.投与量は,体重と血清総IgE濃度から換算表に従って決定

2)メポリズマブ(ヌーカラ)注 12歳以上:1回100mg 4週ごと 皮下注.6歳以上12歳未満:1回40mg 4週ごと 皮下注

3)ベンラリズマブ(ファセンラ)注 1回30mg 初回/4週後/8週後に皮下注.その後8週ごと,皮下注

4)デュピルマブ(デュピクセント)注 初回600mg 皮下注.その後,1回300mg 2週ごと 皮下注

5)テゼペルマ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?