診療支援
治療

薬物アレルギー
drug allergy
中原剛士
(九州大学教授・皮膚科学)

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GLアレルギー総合ガイドライン2022

ニュートピックス

・2022年3月に,「アレルギー総合ガイドライン2022」のなかに「薬物アレルギー」の章が初めて作成された.発症頻度の高さ,新規薬物の導入,あらゆる医師が臨床現場で接する疾患であることから,薬物アレルギーの重要性が今後さらに認識されるべきであるという考えがその背景である.

治療のポイント

・薬物アレルギーは「特定の薬物に感作された患者の,薬物に対するアレルギー性反応」である.

・その臨床症状は皮膚症状として出現することが多い.

・何らかの皮膚症状に薬物との関連が考えられる場合には,その被疑薬の同定に努める.

・同時にその機序がアレルギー性か非アレルギー性か,症状が重症か否かを判断し,アレルギー性であれば,まずは被疑薬の中止を検討する.

・そのうえで,症状に対する必要な治療も行う.

◆病態と診断

A病態

・薬物アレルギーは,感作された患者に薬物が投与された際に生じるアレルギー反応である.

・大きく即時型反応と遅延型反応に分けられる.

・即時型反応は,じん麻疹やアナフィラキシーとして出現する.

・遅延型反応は,さまざまな皮膚症状を呈する薬疹として出現することが多く,薬剤性肝障害がみられることも多い.

・通常の薬疹としては,播種状紅斑丘疹型が最もよくみられ,その他,多形紅斑型,苔癬型,紅皮症型,湿疹型,光線過敏症型,固定薬疹などがある.

・さらに重症薬疹として,薬剤過敏症症候群(DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome),急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP:acute generalized exanthematous pustulosis)や,スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome),中毒性表皮壊死症(TEN:toxic epidermal n

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