診療支援
治療

アレルギー性気管支肺真菌症
allergic bronchopulmonary mycosis(ABPM)
小熊 剛
(東海大学教授・呼吸器内科)

頻度 ときどきみる(気管支喘息患者の約2%程度)

GLアレルギー性気管支肺真菌症の診療の手引き(2019)

ニュートピックス

・アスペルギルス以外の真菌によるABPMの診断も可能な新しい診断基準が本邦から提唱された.

・アスペルギルス特異的アレルゲンコンポーネントであるAsp f 1特異的IgE抗体が保険収載された.

治療のポイント

・再燃・再発が多い疾患であるが,無治療で経過観察可能な症例も一部存在する.

・中用量の経口ステロイドから初期治療を開始し,漸減する.症例により治療開始時から抗真菌薬を併用する.

・経口ステロイド治療で再燃した症例には抗真菌薬の投与を検討する.

・経口ステロイドが併発症などで投与困難な際は,抗真菌薬単独治療を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・気道内に腐生する真菌に対するⅠおよびⅢ型アレルギーによって惹起される,難治性アレルギー性気道疾患である.無症状の軽症例から,再燃を繰り返し,高度の気管支拡張・肺の嚢胞・線維化などをきたす症例まで,幅広い臨床像を有する.

・原因真菌としてはアスペルギルスが90%以上を占める〔当初アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA:allergic bronchopulmonary aspergillosis)と呼称されていた〕.本邦では真正担子菌の一つであるスエヒロタケ(Schizophyllum commune)の頻度がアスペルギルスに次いで高い.

B診断

・本邦の全国調査の結果も踏まえたAsanoらの新しいABPMの診断基準では,5項目を満たすとABPM疑,6項目でABPMと診断される().

・約80%の症例で喘息が併発する.喘息発症から本症の発症までは約10年とされ,本邦では50歳以上の発症が半数以上を占める.

・気管支喘息症例に中枢気道の粘液栓,末梢血好酸球数増多,高IgE血症(本邦ではさほど高値ではない症例も存在する)を認めた際には真

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