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ニュートピックス
・いままでは,抗カルジオリピン抗体IgGのみ計測が可能であったが,2020年7月から抗カルジオリピン抗体IgM,抗β2GP1抗体IgGおよびIgMも計測が可能になり,診断基準に当てはめやすくなった.
治療のポイント
・1次予防については,議論が分かれる.血栓症の高リスクの患者(SLE合併,血小板減少,3抗体陽性者など)には,低用量アスピリン予防投与を考慮する.
・2次予防については,ワルファリン(INR 2~3を目標)を投与する.
◆病態と診断
A病態
・APSは,APS抗体により凝固傾向になり血栓傾向をきたす疾患である.特に抗β2GP1抗体が病因の中心であると考えられている.
・産科的APSでは,血栓傾向による胎盤梗塞,APS抗体による血管内皮細胞や絨毛膜細胞の障害による胎盤機能不全が病態とされる.
B診断
・血栓症や産科的合併症があり,かつ,12週間以上間隔をあけてAPS抗体〔ループスアンチコアグラント(LAC),抗カルジオリピン抗体,抗β2GP1抗体〕が2回陽性であった場合に診断する.
◆治療方針
血栓症の予防および産科合併症の予防が目標となる.治療は基本的には継続が必要である.
AAPS抗体陽性で血栓症の既往がない場合
血栓症の高リスクの患者(SLE合併,血小板減少,3抗体陽性者など)に薬物治療を考慮する.
Px処方例 下記を投与する.
アスピリン(バイアスピリン薬)錠(100mg) 1回1錠 1日1回 朝食後
BAPS抗体陽性で血栓症の既往がある場合
Px処方例 下記1)を投与する.SLE合併の場合には2)の併用を考慮する.また,1)の投与にもかかわらず血栓症が再発する場合には3)もしくは4)を行う.