診療支援
治療

脊椎関節炎
spondyloarthritis
松井 聖
(兵庫医科大学教授・糖尿病内分泌・免疫内科学)

頻度 ときどきみる〔末梢型脊椎関節炎(pSpA)〕

頻度 あまりみない〔体軸性脊椎関節炎(axSpA),強直性脊椎炎(AS)〕

GL脊椎関節炎診療の手引き2020

ニュートピックス

・分子標的薬の導入に続いて,axSpA(AS)とpSpA〔乾癬性関節炎(PsA:psoriatic arthritis)含む〕に治療選択肢として,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ウパダシチニブ)が適応になった.

治療のポイント

・ax SpAとpSpAともに早期から疾患活動性を抑えることが重要である.ただし,特にaxSpAは活動性を正しく評価することが難しい.したがって,SpA全般において過剰診断や過剰治療にならないように,十分に検討して適正な診断・治療を行うことが求められる.

・axSpAの代表であるASでは,NSAIDsで効果不十分であれば,TNF阻害薬,IL-17阻害薬,JAK阻害薬のいずれかを追加する.早期導入することにより,疾患活動性を抑制し,進行を抑制する可能性がある.

・pSpAの代表であるPsAでは,NSAIDsや抗リウマチ薬で効果不十分で高疾患活動性であれば,TNF阻害薬,IL-17阻害薬,IL-12/23阻害薬,JAK阻害薬のいずれかを用いる.

◆病態と診断

A病態

・脊椎関節炎(SpA)は複数の疾患から構成される疾患全体の総称であり,主に仙腸関節と脊椎の病変を中心とした体軸性脊椎関節炎(axSpA:axial spondyloarthritis)と,主に末梢関節を中心とした末梢性関節炎(pSpA)に分かれる.

1.体軸性脊椎関節炎(axSpA)

・axSpAに分類される疾患は,強直性脊椎炎(AS:ankylosing spondylitis),X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA:non-radiographic axial SpA)である.

a.強直性脊椎炎(AS)

・ASは45歳以

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?