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治療

成人発症スチル病
adult-onset Still's disease(AOSD)
舟久保ゆう
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

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GL成人スチル病診療ガイドライン2017年版[2023年Update]

治療のポイント

・不明熱の代表的疾患である.診断時には感染症,悪性腫瘍,ほかの膠原病を除外することが重要である.

・標準的治療薬は副腎皮質ステロイドで,重症度や合併症の有無によって投与量を決める.

・ステロイド抵抗例や減量が困難な場合は,免疫抑制薬やIL-6阻害薬を併用する.

◆病態と診断

A病態

発熱関節症状皮疹を3主徴とした原因不明の全身性炎症性疾患である.

・マクロファージ,Tリンパ球の異常な活性化と,それに続く高サイトカイン血症が主な病態である.

B診断

・診断に用いる山口らの分類基準は,大項目として①39℃以上の発熱が1週間以上続く,②関節症状が2週間以上続く,③定型的皮疹(発熱時に一過性に出現するサーモンピンク疹),④80%以上の好中球増多を伴う白血球増多(10,000/mm2 以上)の4項目と,小項目として1)咽頭痛,2)リンパ節腫脹あるいは脾腫,3)肝機能障害,4)リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性の4項目からなる.大項目中2項目以上を含む合計5項目以上に該当する場合,成人発症スチル病(AOSD)に分類される.除外項目として感染症(特に敗血症,伝染性単核球症),悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫),膠原病(特に結節性多発動脈炎,悪性関節リウマチ)がある.

・特異的な検査所見はないが,血清フェリチン値上昇(基準値上限の5倍以上),白血球増多,血清CRP上昇,赤血球沈降速度亢進,肝逸脱酵素上昇は診断および活動性評価の際に参考になる.

マクロファージ活性化症候群(MAS:macrophage activation syndrome)はAOSDの重篤な合併症であり,汎血球減少,脾腫,血清フェリチン異常高値(≧5,000ng/mL),中性脂肪高値を認める.臨床症状(発熱や倦怠感の増悪)や血球減少など

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