診療支援
治療

ベーチェット病(内科)
Behçet's disease
山岡邦宏
(北里大学主任教授・膠原病・感染内科学)

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GLベーチェット病診療ガイドライン2020

治療のポイント

・全身症状を伴わない皮膚粘膜病変(口腔内アフタ性潰瘍,外陰部潰瘍,結節性紅斑,毛嚢炎様皮疹)は,外用薬による局所療法より開始する.

・コルヒチンは諸症状の改善と再発予防に用いる.

・特殊病型は重篤な機能障害の残存や生命予後不良をきたしうるため,積極的薬物療法を行う.

・生命予後や身体機能に影響を与えうる病態では,十分量のステロイド,アダリムマブ,インフリキシマブ投与を考慮する.

・重症度基準Ⅱ度以上は指定難病の公的医療費助成の対象となるため,制度を理解しておく.

◆病態と診断

A病態

・口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,皮膚症状(結節性紅斑,毛嚢炎様皮疹,皮下結節性静脈炎),眼症状(ぶどう膜炎),外陰部潰瘍を4大主症状とする.

・主症状以外に副症状として中枢神経病変,血管病変,回盲部潰瘍に代表される腸管病変,精巣上体炎,変形や硬直を伴わない関節炎がみられる慢性再発性炎症性疾患である.

HLA-B51HLA-A26などの遺伝的背景に,リポポリサッカライドやペプチドグリカンなどの局所の細菌感染による炎症反応の亢進と制御不全によりTNF-αやIL-1が無秩序に産生された結果,好中球機能亢進が引き起こされる.自己抗体や自己反応性T細胞のような自己免疫疾患の特徴はみられないため,自己炎症疾患に近い病態と考えられている.

B診断

・診断には「厚生労働省ベーチェット病診断基準(2016年小改訂)」を参考にする.

・神経,血管,腸管病変を有する場合には特殊型と診断するが,診断基準を満たさない場合が少なくない.

◆治療方針

 治療は発作期と寛解期に分けられる.発作期は各病変の重症度により局所療法または全身療法を行い,寛解導入後は寛解維持可能とする局所療法,全身療法を行う.

A寛解期

 再発予防のためにコルヒチンを予防的に投与する.下痢などの消化器症状

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