診療支援
治療

Weber-Christian病
Weber-Christian disease
杉原毅彦
(東邦大学准教授・膠原病学)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・治療方針決定のため,病変の広がりを評価する.

・副腎皮質ステロイドが第1選択である.

・ステロイド抵抗例や重症例では免疫抑制薬を併用する.

◆病態と診断

A病態

・Weber-Christian病は,20~40歳代の女性に好発する希少疾患で,皮下の脂肪織炎を特徴とする.皮膚以外にも脂肪織炎を認めることがある.2次性の報告もあるが,狭義には原発性の病態を指す.

B診断

・血液検査では炎症所見を認める.皮膚生検で,典型的には小葉中心性脂肪織炎を認める.

・腹部症状を合併した場合,腸間膜脂肪織炎などをCTなどで評価する.肝障害,血球減少を合併している場合,肝臓,骨髄での脂肪織炎を病理学的に評価する.

◆治療方針

 圧痛を伴う紅斑や,皮下結節を触れ,発熱,多関節痛や倦怠感を伴うことがある.皮疹は数日から数週間で自然軽快することがあるが,再発を繰り返す場合や,皮疹が持続する場合,中等量から高用量の副腎皮質ステロイド療法が第1選択となる.腸間膜脂肪組織,肝臓,脾臓,漿膜,骨髄に脂肪織炎を合併することもまれながら報告され,皮膚以外の脂肪織炎では免疫抑制薬が考慮される.アザチオプリン,シクロスポリン,近年はミコフェノール酸モフェチルやTNF阻害薬が有効であった症例が報告されている.血球貪食症候群に類似したcytophagic histiocytic panniculitisではシクロスポリンが有効であることが報告されている.

A皮膚に限局した脂肪織炎

Px処方例

 プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1日6~12錠を3回に分服 毎食後 2週程度投与後に減量

B皮膚以外の脂肪織炎合併例

Px処方例 副腎皮質ステロイド1)に免疫抑制薬2)または3)の1剤を併用する.

1)プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1日8~12錠を3回に分服 毎食後

2)シクロスポリン(ネオーラル)カ

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