診療支援
治療

ステロイドの副作用と対策
management of glucocorticoid-induced adverse events
田中良哉
(産業医科大学教授・第1内科学)

GLグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023

ニュートピックス

・ステロイドにはグルココルチコイド,アンドロゲン,エストロゲンなどを含み,広義にはビタミンDやコレステロールなどもステロイド骨格を有する.強力な抗炎症などの薬理作用を有する薬剤は合成グルココルチコイドを指し,薬剤の俗称としてのステロイドは先進国では使用されない.

治療のポイント

・グルココルチコイドは強力な抗炎症,免疫抑制作用を有するので,適応,使用量・期間は,病態に応じてリスクとベネフィットを考慮し,適切に設定する.

・副作用は投与量に依存するが,少量でも糖,脂質,骨などの代謝異常を必発し,骨粗鬆症,耐糖能異常,脂質代謝異常,高血圧などを高頻度に生ずることを念頭におく.

・少量投与でも易感染性状態,大量により日和見感染症に留意することが重要である.

・重篤な副作用として,感染症,消化性潰瘍,精神症状,血栓・塞栓,無菌性骨壊死,投与中止による下垂体・副腎皮質機能不全などを念頭におく.

・投与前の危険因子や潜在疾患のスクリーニング,投与中の副作用のモニタリング,日常生活指導,服薬指導が基本である.

◆病態と診断

・グルココルチコイド(コルチゾール)は,視床下部-下垂体前葉系から副腎皮質刺激ホルモンの刺激を受けて分泌され,糖,脂質,骨などの生理的代謝を調節し,生体のホメオスタシスを維持する.合成グルココルチコイドは強力な抗炎症と免疫抑制を薬理作用として有し,膠原病・リウマチ性疾患をはじめ幅広い領域の多様な疾患の治療に汎用される.

・合成グルココルチコイドはコルチゾールと共通の受容体に結合する.よって,生体内ではプレドニゾロン換算2~2.5mgのコルチゾールが産生されるが,少量でも生体外から投与すれば過剰状態となり,核内受容体を介して糖,脂質,骨などの代謝異常を必発する.また,胃腸障害,骨粗鬆症,耐糖能異常,脂質

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