頻度 ときどきみる
GL多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン 2023
治療のポイント
・診断後はすみやかに疾患修飾薬(DMD:disease modifying drug)を開始する.
・再発頻度,MRI活動性,重症度や脳萎縮などの予後不良因子,患者の生活背景や価値観などを考慮してDMDを選択する.
・予後不良と考えられる患者では,有効性の高いDMD(ナタリズマブやオファツムマブ)から開始する.
・治療効果が不十分な場合や副作用で継続できない場合はDMDを変更する.
◆病態と診断
A病態
・中枢神経系の炎症性脱髄疾患であり,自己免疫機序の関与が推測される.
・HLAなどの遺伝的要因と喫煙,EBウイルス感染,ビタミンD不足,肥満などの環境的要因が関与する.
・病理学的には炎症性脱髄,軸索障害,慢性期にはグリオーシスや髄鞘再生像がみられる.
B診断
・MSの診断は,炎症性脱髄病変による臨床症状が時間的,空間的に多発することの確認と他疾患の除外による.
・国際的なMcDonald診断基準は,時間的,空間的な多発をMRI所見で代用可能としている.
・再発寛解型は再発に伴う悪化,1次および2次進行型な再発によらない症状進行がみられる.
◆治療方針
治療の目的は,①急性期の障害の軽減,②DMDによる長期的な再発や病状進行抑制,③対症療法などで後遺症を軽減することである.
A急性増悪期の治療
ステロイドパルス療法が第1選択である.改善が乏しい場合は1~2クール追加し,それでも効果不十分の場合は血漿浄化療法を行う.
Px処方例 1)を第1選択とし,効果不十分の場合は2)を行う.
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム《ソル・メドロール》
- 治療薬マニュアル2024/ブドウ糖《ブドウ糖 ブドウ糖》
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2024/インターフェロンベータ-1b(遺伝子組換え)《ベタフェロン》
- 治療薬マニュアル2024/インターフェロンベータ-1a(遺伝子組換え)《アボネックス》
- 治療薬マニュアル2024/グラチラマー酢酸塩《コパキソン》
- 治療薬マニュアル2024/フマル酸ジメチル《テクフィデラ》
- 治療薬マニュアル2024/フィンゴリモド塩酸塩《イムセラ ジレニア》
- 治療薬マニュアル2024/ナタリズマブ(遺伝子組換え)《タイサブリ》
- 治療薬マニュアル2024/オファツムマブ(遺伝子組換え)《ケシンプタ》
- 治療薬マニュアル2024/シポニモド フマル酸《メーゼント》