診療支援
治療

痙性対麻痺(HAMを含む)
spastic paraplegia(including HTLV-Ⅰ associated myelopathy)
山野嘉久
(聖マリアンナ医科大学主任教授・脳神経内科)

頻度 ときどきみる

GLHTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019

GL脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018

ニュートピックス

・医療用ロボットスーツHALが,HAMおよび遺伝性痙性対麻痺に対して適応追加となった.

治療のポイント

・進行性の重度の痙縮や神経因性膀胱などを呈するため,他科との連携による対応が重要である.

・HTLV-1関連脊髄症(HAM)は疾患活動性により3群に分類され,活動性に応じた層別化治療が推奨される.特に急速進行例では,迅速な診断と疾患活動性の把握に基づく早期治療が求められる.

・HAMでは,HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)や成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の合併に注意する.

◆病態と診断

A病態

痙性対麻痺は両下肢の痙性麻痺がある状態のことで,錐体路障害によって起こる.

・原因は外傷,脊椎症,腫瘍,血管障害,感染,自己免疫,遺伝など多岐にわたる.

・HAMは,ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染者の約0.3%に発症する疾患で,脊髄に浸潤したHTLV-1感染細胞が慢性炎症を引き起こし,脊髄組織の変性をきたす疾患である.

B診断

・両下肢の痙性所見,深部腱反射亢進,病的反射を呈する.排尿障害や便秘,インポテンツなどの自律神経障害や感覚障害を伴う場合もある.

・病歴・家族歴の聴取,血液・脳脊髄液検査,MRIなどの画像検査などにて脊髄病変の有無や原因について調べる.

・HAMを疑ったら血清中HTLV-1抗体を確認し,陽性であれば髄液のHTLV-1抗体が陽性,かつ他疾患を除外してHAMと診断する.

◆治療方針

 治療は原因疾患の病態に応じて行うが,根本的治療薬がない場合が多く,QOL改善のための対症療法が重要となる.HAMは疾患活動性により3群に分類され,活動性に応じた層別化治療が推奨される.

A痙縮の治療

1.内服治療

 痙縮に対して以下の内服薬が有効

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?