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ニュートピックス
・自己免疫性ニューロパチーの代表的疾患である慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy)のガイドラインが2021年にEuropean Academy of Neurology/Peripheral Nerve Society(EAN/PNS2021)により改訂された.
治療のポイント
・原疾患の検索・治療および対症療法を行う.
◆病態と診断
A病態
・多発ニューロパチーは遠位優位に全身性末梢神経障害をきたす疾患の総称である.原疾患は多岐にわたり,一般的な糖尿病やアルコール中毒,HIV関連ニューロパチーから,比較的まれなシャルコー・マリー・トゥース病(CMT:Charcot-Marie-Tooth disease)などさまざまである.薬剤の副作用や全身性疾患に随伴することもある.疾患進行速度や末梢神経障害のタイプ(軸索型か脱髄型か)などは原因検索に有用である.
B診断
・「多発ニューロパチー」の診断基準は存在しないが,遠位性対称性ポリニューロパチーの定義は参考になる(Neurology 64:199-207,2005).すなわち①神経症状,②アキレス腱反射,③遠位優位の筋力低下や筋萎縮,④神経伝導検査(NCS:nerve conduction study),の4項目について評価し,それぞれの項目の充足度により診断レベルを策定している.
・多発ニューロパチーの可能性が最も高いのは,複数の症状と徴候の組み合わせにNCS異常が伴う場合.複数の症状と徴候の組み合わせが存在するが,NCSが施行できなかった場合は多発ニューロパチーの可能性あり.NCSと徴候が一致しない場合,多発ニューロパチーの可能性は低い.
・NCSにおいて,伝導速度低下,複合筋電位(CMAP:compou